2013年5月31日金曜日

後輩の乳がん


アンジェリーナジョリーは、自分の遺伝子の中にがんになる確率85%という事実を知るや、勇敢にも乳房の切除再建をおこなったそうだ。そして次には卵巣をとる予定とか。のけぞるほど驚いた。医学の進歩にではない。彼女の経済力にでもない。その潔い決断力に。
この検査が日本にはいってきて、それを日本人の気質というか、国民性がすぐさまうけいれるだろうか?きっと検査 手術が浸透していくスピードは欧米とくらべて格段に遅いと思う。
 私の知り合いという狭い世界でも結構な数の乳がん患者がいるが、ふと、中高の後輩の事を思い出した。彼女はY田S代といい、A学園文芸部で3年後輩になる。
乳がんで右の乳房をとり、その闘病記を「アマゾネスのように」という本に著している。残念ながら乳がんのあと膵臓がんになり亡くなった。自らを、弓を引くために邪魔になる右の乳房をきりとるという風習があったといわれるアマゾネスになぞらえていたのだが、病をえても、基本的には幸せだといいきる強い人だった。夕日のあたる放課後の教室でいつまでも本を読む彼女の姿しか思い浮かばない。とくに親交があったわけでもなかったので。ただ彼女の読書量はすごかったと今は亡き顧問の先生がいつもはなしておられた。
 昭和41年の校内文芸誌に、星が迷子になって都会の隅に落ちたなどと夢のようにかわいい詩をみると、なぜか涙があふれてきた。
 今だったら、いやもう少しあとだったらなどと思うのは詮無い事でしょうが。
彼女の名前は中島梓、栗本薫、そして、Y田S代。




                                             by セイラ